大判例

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名古屋高等裁判所 昭和27(う)68 高裁判例

主 文

原判決を破棄する。

被告人を懲役六月及罰金千円に処する。

右罰金を完納できないときは金百円を一日に換算した期間被告人を労役

場に留置する。

訴訟費用中原審証人A、B及び当審国選弁護人山村辰治に支給した分は

被告人の負担とする。

理 由

福井地方検察庁検事正雪下陽三郎の控訴趣意は同検察官提出控訴趣意書記載の通

りである。

仍て記録を精査、原審に顕れた本件各証拠を検討するに本件に対する原判決は事

実誤認に出づるものと思料する。即ち本件につぎ公訴事実の通り被告人が昭和二十

六年十月二日午後九時頃肩書自宅に於てCの持参した中古自転車一台を代金八百円

で買受けたことは被告人及Cの原審公判に於ける供述に依り明かであり又該自転車

はCが同日福井競輪場にて他から騙取したものであることはCの原審に於て自供す

るところである。そしてCの原審公判に於ける供述及被告人の検察官に対する各供

述調書に徴すれば被告人がCの持参した本件自転車を買受ける際盗品ではないかと

云う疑念を抱いたことはこれを認むるに十分であつて、被告人は右はAに対し自転

車の購入斡旋方を依頼してあつたところCがAから頼まれて持参したと申し疑わし

いものでないと云うたから買受けたものであると弁解し、Cが当時A方に厄介にな

つて居た者である点及原審証人Aの証言に依り認められる被告人が中古でも良い自

転車を欲しいと洩して居<要旨>たことのある事実は被告人の右弁解を証する一資料

となるようであるけれども、被告人の検察官に対する各供</要旨>述調書の供述記載

に依れば被告人はCより本件自転車を買受けた翌日その自転車に取付けてあつた福

井市の鑑札番号を取外して塵箱に棄て尚車体を黒エナメルで塗替えた上同日武生市

役所に赴き新鑑札を受け更に一旦塵箱に棄てた福井市の鑑札を日野川に投棄した事

実を認むるに足る。この買受後の処置ど前示被告人が当初賍物でないかとの疑問を

抱いた事実とに徴すれば被告人は本件自転車の買受けの際には盗品ではないかとの

疑念を抱きながらその侭買受けたものである結果右のような処置を構じたものと認

むるを相当とする。従つてこれに対し被告人が賍物たるの情を知らなかつたものと

して本件につき無罪の言渡を為した原判決は失当であつて破棄を免れない。

叙上説明の通り被告人に対する本件公訴事実は証明十分であつて被告人の所為は

刑法第二百五十六条第二項罰金等臨時措置法第二条第三条に該当するから所定刑の

範囲内で被告人を懲役六月及罰金千円に処し刑法第十八条刑事訴訟法第百八十一条

第一項に則り主文の通り判決する。

(裁判長判事 吉村国作 判事 小山市次 判事 村上久冶)

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